眼の病気ガイド
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膀胱ガン

膀胱ガンについて

泌尿器ガンで患者数の多いガンは、前立腺ガン、膀胱ガン、腎ガンで、これを泌尿器の3大ガンといいます。膀胱ガンは、2番目に多い泌尿器ガンというわけです。

患者数は、1万6051人(男性1万2012人・女性4039人)(2004年の推計罹患数)です。
女性より男性に多い傾向があるのは、
◎膀胱ガンは喫煙が重要な危険因子になっている
◎染料などの職業に関係する発がん物質が存在する
ためと考えられています。罹りやすい年齢は50代以降です。

命の危険も大変なものですが、膀胱全摘手術のあとのおしっこの問題、勃起不全の可能性など、下半身のガンだけに、デリケートな悩みが伴うのが膀胱ガンの特徴です。

今回は、そんな「膀胱ガン」に悩むみなさんのお役にたてる情報をお届けします。

膀胱ガン

ある夜、突然コーヒー色の血尿が…!

膀胱ガン発見のきっかけは、血尿であることが多いようです。神奈川県に住むTさん(66歳男性)の場合もそうでした。

「ある夜、トイレに立ったら、突然コーヒー色の血尿が出ました。痛いとかの自覚症状はありませんでしたが、なにせ異様でしたから。 翌朝すぐに、近くの診療所で診てもらいました。要精密検査と言われ、紹介先の病院に入院して、尿道膀胱鏡検査などを受けた結果、筋層に浸潤する腫瘍とのことでした」(Tさん)

Tさんは、 膀胱全摘術を受け、手術のあとは3種類ある再建法のうち、自排尿型代用膀胱(新膀胱)という方法で、尿路を再建しました。

「新膀胱のいいところは、ストーマという排尿のための出口と体外装具をつける必要がないため見かけがいいことでした。でも、神経がつながっていないため、尿意を感じることはありません。括約筋を緩め、お腹に力を入れて、排尿をするのです。この排尿法を習得するのに、3カ月間近い訓練をしました。人によっては、失禁しやすいようですが、私は大丈夫でした。それから男性機能も…心配していましたが、まあ大丈夫でした」(Tさん)

再発の可能性はあるものの、Tさんは至って元気。手術からもうじき6年目を迎えるそうです。Tさんのような血尿は、専門的には無症候性肉眼的血尿といいます。

痛みや発熱などの症状がないのに、肉眼ではっきりわかる色つきの血尿が出るのです。この血尿は1回で止まることも多いので、しばらく様子を見ようなどと考えがちですが、それはNGです。次に血尿が出たときには、すでに進行ガンという可能性が高いからです。大事な徴候を逃さず、早期発見につなげたお陰で、Tさんの今日があるのです。

膀胱鏡検査は昔より痛みは少なくなっています

血尿などで膀胱ガンが疑われる場合には、尿の細胞診や膀胱鏡検査が行われます。尿の細胞診は、尿の細胞を顕微鏡で調べ、ガン細胞の有無を調べる検査です。

一方膀胱鏡検査は、内視鏡を尿道から挿入し、膀胱の中を観察する検査です。「すごく痛そう」 と心配するかもしれません。かつては硬性鏡といって、金属の棒状の内視鏡が使われていましたが、現在は軟性鏡で、以前のものより細いので、痛みに関しては楽になっているそうです。

多くの場合、膀胱内部を見ることで、ガンの有無は判明します。粘膜に発赤が見えるだけの場合には、内視鏡を使って組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べることも可能です。しっかり診てもらいましょう。

より副作用の少ない化学療法が注目されています

膀胱ガン

膀胱がんは、浸潤性膀胱ガンと筋層非浸潤性膀胱ガン(かつては表在性膀胱ガンといいました)に大別できます。

浸潤ガンなら膀胱を摘出する手術が必要ですし、転移があれば手術は不可能となって全身化学療法に頼るしかありません。しかし最近は、新膀胱を再建する技術が進む一方で、膀胱を温存する治療も積極的に行われるようになってきました。

筋層非浸潤性膀胱ガンの場合、通常は浸潤・転移していることは稀で、多くは膀胱を温存し、内視鏡的手術での完全切除が可能です。

浸潤ガンの場合は、他の臓器に浸潤・転移しやすく、内視鏡的手術で治すのは困難であり、膀胱を摘出する手術(膀胱全摘術)が標準的な治療法となっています。

筋層非浸潤性膀胱ガンと浸潤ガンとの比率は7対3ぐらいです。早期に見つけられれば前者で、発見が遅れると後者に進行しているのかというと必ずしもそうではなく、両者は性質の違うガンと考えたほうがよいようです。

浸潤ガンの手術は、膀胱全摘術と周辺のリンパ節郭清(切除)術、それに尿路変向術がセットで行われます。

膀胱から尿管を切りはずし、膀胱を摘出するのですが、男性の場合は前立腺も一緒に摘出します。ガンの位置によっては尿道を一緒に切除することもあります。

また、女性では子宮や腟の一部も膀胱と一緒に摘出する場合があります。膀胱をとってしまうと、膀胱の代わりが必要になるため、尿路変向術あるいは尿路再建術を行う必要があります。

しかしながら、膀胱全摘術を行っても、5年生存率は全体で50~60%。その上、膀胱を失うことによるQOL(生活の質)の低下も否定できないことから、20年ほど前から行われるようになってきたのが、抗ガン剤と放射線の併用によって膀胱を残したままガンをたたく方法、膀胱温存療法です。

アメリカではボストンにあるマサチューセッツ・ゼネラル・ホスピタルで行われるようになり、日本でもほぼ同時期に筑波大学をはじめとしていくつかの病院で始められました。副作用としては、放射線による頻尿や、抗がん剤による吐き気、脱毛、骨髄抑制、腎機能低下などがあげられます。

近年は、GC療法という全身化学療法も注目されています。ジェムザール(一般名ゲムシタビン)とシスプラチンの併用療法で、ヨーロッパでの大規模な臨床試験の結果では、効果は従来の療法と同等ですが、副作用が少ないことが報告されています。

現在では “ 世界標準” の治療法となっているのですが、日本では、最近になってようやく膀胱ガンの治療薬としてジェムザールが承認され、全身化学療法の第1選択としてGC療法が行われることが多くなってきました。

膀胱ガンで命を落とさないための心得

最後に、膀胱ガンで命を落とさないための心得をお伝えします。

何よりも大切なのは、恥ずかしいからと受診をためらわないことです。たとえば、血尿など気になる症状があったとき、泌尿器科は行きにくいからとためらうと、それで手遅れになってしまうことがあります。

新しい薬がどんどん登場していますし、治療も急速に進歩しています。現在ガンを抱えている人も、どうか希望を持って治療に取り組んでください。

まとめ

泌尿器科のガンは、場所が場所だけに、受診をためらって命取りになるケースが多いようです。

◎血尿が出たらすぐに泌尿器科を受診すること。様子を見ている場合ではありません。
◎治療は、筋層非浸潤性膀胱ガンの場合は、内視鏡手術で膀胱温存が可能。
浸潤ガンの場合は膀胱摘出し、尿路再建術を行う。
◎最近は、抗ガン剤と放射線の併用によって膀胱を残したままガンをたたく方法や、副作用の少ないCG療法などが普及している。

の3点が「膀胱ガン」のポイントです。兆候があったら早めに受診するようにしましょう。

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